【違い】民事裁判と刑事裁判

いまいちこの二種の違いがわかってないので、自分の覚え書き用としてまとめておく。

複数のサイトなどを参考に、知りたかった情報をまとめてみた。

 

 

 

 

【誰が行う?】

 

民事→

当事者間による紛争。

(警察や検察は、民事上の争いごとには原則として立ち入らない「民事不介入の原則」がある)

訴える側の「原告」と、訴えられる側の「被告」

 

申し入れ先は裁判所で、訴状を裁判所に提出することで、手続きが行われる。

 

 

刑事→

訴える側の「検察官」と、訴えられる側の「被告"人"」

 

刑事裁判を起こせるのは、(起訴(公判請求)するかどうかを決めるのは、)検察官のみ。

よって、警察に被害届を出したり、告訴状を出すなど申し入れをすれば、

刑事告訴

刑事裁判の手続きに向けて捜査を行ってくれる可能性はあるが、一般人に起訴の決定権はないということだ。

(起訴独占主義) 

 

 

【なんの目的で?】

民事→

私人間のトラブル解決が目的。

もっと言ってしまうと賠償請求の権利を得ること。

(差し押さえを行うための"手続き書"である「判決書」をもらうため。)

また、善悪を判断する場ではない。

その判決書をもらうために行うというのがほとんど。

(ほとんどと言ったのは、他に、裁判所に訴えることで時効の経過を中断させることができるため、その目的で行うこともあるようだ。)

判決書をもらうことで、差し押さえをしたり、被告の口座を抑えたり、車などの資産の売却といった強制執行ができるようになる。

ただし、民事訴訟の判決に効力が乏しく、強制執行の制度が十分に機能していない点が長らく問題になっているそうだ。

  

また、離婚は本来、双方の合意・離婚届けによって行われるが、仮に片方が離婚に応じないような場合に、裁判を起こし、その旨の判決が下れば、その判決書を役所に持参することで、離婚が受け入れてもらえる。ということも民事裁判でできるそうだ。

 

 

刑事→

国家が、国の治安や秩序の維持に反したの者に(懲役や死刑など)罰則を与える目的で行う。

罰則の適否について審議を行い、

判決が出れば被告人に刑罰を課すことができる。

 

刑事事件は、有罪の可能性が極めて高いものしか起訴しないため、その99%は有罪となると言われている。

これは、「推定無罪の原則」として知られていて、疑いを挟む余地がないと思える程度に立証がなされないと、有罪として認めないことが根本にある。

「疑わしきは罰せず」

 

 

【適用される法律の違い】

刑事→

刑法、覚せい剤取締法大麻取締法、銃刀法、罰則規定のある一部商法など。

手続きについては、刑事訴訟法に規定されている。

 

民事→

民法、商法などの私法

手続きについては、民事訴訟法に規定されている。

 

 

【犯罪と不法行為

法律上、人に損害を与える行為には、大きく2種類ある。

民事上の不法行為と、刑事上の犯罪である。

刑事上の犯罪は、民事上の不法行為となるのが普通であるが、

その逆、民事上の不法行為が常に刑事上の犯罪になるとは限らない。

 

民法上の不法行為..故意または過失の違法行為によって他人の権利・利益を侵害したものに対し、生じた損害を賠償させるための民法上の制度

ちなみに、

「違法行為」は、法律に抵触する行為、という認識で大丈夫そうだ。

 

刑事上の犯罪..社会生活上の利益を侵害する非常に有害な行為であって、中でも刑罰による制裁が必要なもの。刑罰が規定されている法律に違反する行為。

 

ちなみに度々話題になる「不倫」(不貞行為)は、その行為を罰する法律がないため、犯罪ではなく、刑罰には問われない。

 

犯罪として刑罰の対象となるのは、刑法などの細かい要件を満たしていて、有罪となる証拠がある場合のみである。民事で損害賠償請求が認められる場合でも、刑事上の罪が成立しないこともある。

 

先に言ったように、民事裁判にはある程度おカネで解決させる側面があるが、その一方で、刑事上の犯罪に対する刑罰にも「罰金」の項目がある。

その違いは、犯人が刑罰として国家に支払うものであり、当事者間のお金の問題(民事)とは無関係である。ということだ。そのお金は被害者には渡らない。

 

 

【和解】

刑事→

和解による解決は、司法取引をのぞいて、ない。

 

民事→

裁判しなくても、裁判途中であっても、和解による解決が起こりうる。

 

 

【自白】

刑事→

被告人の自白のみでは有罪にできない。

逆に強要されたことが明るみに出たような場合など、自白調書(被告人が間違いがないことを認めた書類)が嘘であることがわかった場合、自白調書の証拠機能のみがなくなる。そのため、直ちに無罪になるわけではない。

 

民事→

自白した内容は事実と認定され、証明を必要としない。

 

 

情状酌量

情状..検察官が公判請求を行うか(起訴するかどうか)判断する際や、裁判官が有罪判決をする際に、どの程度の量刑にするか判断する場合に考慮される事情のこと。

 

これは、刑法上の制度(刑法第66条)で、強制執行の権利を得るために行われる民事裁判では全く関係のない話のようだ。

  

 

【一緒に】

行為を罪に問う刑事事件だけでなく、行為によって損害が発生したような場合は、民事裁判を起こすことも可能となる。

(例・飲酒運転による人身事故。危険運転致死傷罪

 

 

ただし、刑事事件の被害者が刑事裁判手続きの中で民事上の請求を行うことは、原則としてできない。

なので、その場合別途必要に応じて民事事件として裁判を提訴する必要があるということだ。

しかしながら、例外として一定の刑事事件には例外として「損害賠償命令制度」があり、被害者の申立がある場合、有罪判決を裁判官が下した後、引き続き損害賠償請求の審理もはじめてもらうことができる。

ややこしい。。

原則4日以内の期日で被告人に損害賠償を命じてもらう事ができる。申立手数料は請求額を問わず一律2000円とのこと。お手軽。

 

ちなみにそうした刑事事件は、

・殺人・傷害(故意の犯罪行為の必要があり、自動車運転過失致死傷罪など交通事故事件は含まれない)

・強制わいせつ強制性交

・逮捕監禁

・誘拐・人身売買

以上の犯罪を含む犯罪、未遂罪

 

のことであるそうだ。

 

このように、刑事と民事両方で裁判となるのは、

交通事故の他、名誉毀損、強制わいせつ、窃盗・詐欺・横領のような事件で多い事例のようだ。

 

訴えられる側としては、刑事が進んでいる間に、被害者と示談交渉をするのが定石のようだ。

そうすることで、金額や支払い方法に関して譲歩が期待できるだけでなく、刑事事件においても不起訴処分の獲得や刑罰の減刑などが期待できる。

 

 

【挙証責任】

※民事裁判における原告の「挙証責任」について

 

民事裁判において、裁判をおこすことは国民の権利とされており、最低限の法的要件を満たしていれば、誰でも好きな相手を訴えることができ、訴えられた側は被告として法廷に呼び出され、抗弁する必要がある。被告によってこれは大きな負担であるため民事訴訟では原告の訴えを厳しく審理し、事実関係の厳密な証明を求める。(原告の「挙証責任」と呼ばれる。)この証明に対してのみ被告は反論すればよいのだ。

ただし、名誉毀損の場合はその限りでなく、真実のであることの証明は、被告側が行う必要がある点があるため、一般の民事訴訟と比べて原告⇔被告の攻守が逆転しているという点が興味深い。

 

 

 

 

 

↓参考↓

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刑事事件なのに民事事件でも訴えられる? 刑事と民事の違いを徹底解説

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